フィギュアヘッドのアクセサリー
フィギュアヘッドとは船の舳先につける船首像のことで、船のシンボルとしてオーナーや船長の意向が反映されることが多いようです。
16世紀の
大航海時代には、現代に比べれば船の技術的なレベルが低く海難事故も多かったので、航海の安全を願って天使や女神をモチーフにしたフィギュアヘッド
が好まれたようです。海には魔物が住んでいるといった考えが根強い時代でしたから、フィギュアヘッドには神のご加護をうけたいという
宗教的な願いもこめられていたのでしょう。海賊船や軍艦のフィギュアヘッドは、一角獣のような伝説の生き物や猛獣をモチーフにしたものも
あり、これは相手を威嚇したりする目的だったようです。
フィギュアヘッドのデザインは趣向がこらされているので、モチーフにしたキーホルダー
やペンダントなどが通販サイトで販売されていますね。フィギュアヘッドのシルバーアクセサリーなども、価格口コミサイトなどで紹介されて
います。
現代の日本の船にはどのようなフィギュアヘッドがつけられていたのでしょうか。文部科学省の航海練習船「海王丸」は海の貴婦人
として有名な帆船ですが、最初はフィギュアヘッドがありませんでした。1985年に「横笛を吹く女性・紺青」という船首像がつけられ、
1989年の海王丸引退の時に海王丸?世号に引き継がれました。独立行政法人航海訓練所の練習船「日本丸」のフィギュアヘッドは
「手をあわせて祈る女性・藍青」でしたが、1984年の引退時にはこちらも日本丸?世号に引き継がれています。こうしてみるとフィギュアヘッド
には、いろいろな歴史があるのですね。
フィギュアヘッドの展示施設
フィギュアヘッドを展示している施設もあります。大阪の南港にある、なにわの海の時空館には江戸時代の菱垣廻船「浪華丸」の実物大の復元模型
が展示されていて、船の道具や調度とともにフィギュアヘッドを見ることができます。また多くの帆船などのフィギュアヘッドが展示されていて、
4階ではそれぞれの船首像の意味や由来を公開しています。歴史的な海の玄関にふさわしい施設ですね。
新潟の柏崎にある「シーポートミュージアム」
はアンティーク船具の展示数が日本最大の博物館ですが、こちらでも多くのフィギュアヘッドが展示されています。ほかにも多くの展示施設
があるでしょうから、調べてみるといいかもしれませんね。
世界的にみても、アメリカのカリフォルニアにある海事博物館などは歴史的な船
を収集していて、「音楽の女神・ユーターピ」や「正義の女神・シーミス」などの美しいフィギュアヘッドを見ることができます。世界の歴史
は航海の歴史ともいえるでしょうから、それぞれの時代の船がつけていたフィギュアヘッドを見ることで、また違った歴史の側面を
感じることができるかもしれませんね。