くるみ割り人形の原作とバレエ台本
くるみ割り人形は、バレエの題材として世界的に有名ですが、その原作はドイツの童話作家「E.T.A.ホフマン」の「くるみ割り人形とネズミの王様」
といわれています。くるみ割り人形の原作のフランス語訳を参考に、ロシアサンクトペテルブルグマリンスキー劇場の首席振付師であった
「マリウス・プテパ」が、くるみ割り人形のバレエ台本を書きました。ですからくるみ割り人形の原作とバレエ台本には、内容に大きな違い
があるとされています。くるみ割り人形の正体が、原作では主人公マリーの名付け親のドロッセルマイヤーであるのに対し、台本では不明
となっています。またくるみ割り人形の台本の主人公はクララで、これは原作でマリーがもらう人形の名前と同じです。
くるみ割り人形のお話は、クリスマスパーティーから始まります。ですからクリスマスの頃になると、テレビアニメで見かけることもありますね。
パーティーでは人形使いが、くるみ割り人形やピエロやコロンビーヌなど、たくさんの人形を披露します。主人公マリーは、誰も気に入らなかった
くるみ割り人形を気に入ります。くるみ割り人形は一度、フリッツのいたずらで壊されてしまいますが、ドロッセルマイヤーが修理してくれます。
このくるみ割り人形は不思議な人形で、魔法で姿かたちを自由に変えられます。パーティーが終わった後、くるみ割り人形と部屋にいたマリーは、
おとぎ話のような不思議な夢を見ました。といったところが原作の内容です。
くるみ割り人形 チャイコフスキーのバレエ音楽
くるみ割り人形のバレエ音楽は、ロシアの作曲家チャイコフスキーによって作曲され、3大バレー組曲のひとつにあげられています。
バレエ台本を書いたマリウス・プテパは、くるみ割り人形のバレエ音楽のリズム・テンポ・小節数などに細かい要望をしたといわれていて、
チャイコフスキーは見事に応えました。くるみ割り人形の演奏時間は3大バレー組曲の中で、最も短い1時間40分ほどです。
くるみ割り人形
の組曲はバレエの初演にさきがけて、1892年3月にチャイコフスキーが指揮する演奏会で花のワルツなど8曲が演奏されました。くるみ割り人形の
バレエ初演は、その年の12月にマリウス・プテパが所属する劇場で公演が行われました。現代のくるみ割り人形の演奏や公演の様子は、
CD化やDVD化されていますので、家庭でも手軽に楽しむことができますね。たまにはバレエの世界にひたってみるのも良いかもしれません。